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ELEKIT ELEKIT
インタビュー

25th ANNIVERSARY
SPECIAL INTERVIEW

インタビュー

新しいものを生み出すには、早くから“作る=楽しい”という経験をしておくことが大切です。

しくみデザイン 代表取締役

中村 俊介さま

Nakamura Shunsuke

PROFILE

1975年生まれ。名古屋大学建築学科を卒業後、九州芸術工科大学大学院 (現・九州大学芸術工学研究院)に進学し、博士 (芸術工学)を取得。2005年「しくみデザイン」を設立し、参加型サイネージや新世代楽器KAGURA、プログラミング教育アプリSpringin'などの開発を手がける。国内外での受賞歴も多数。    
https://www.shikumi.co.jp/

中村 俊介さま

― 中村さんがエレキットで遊んでいたのは何歳くらいのころでしょうか?

小学生だったと思います。私の生まれ育った滋賀県や群馬県では当時簡単に手に入るものではなかったので、名古屋の親戚の家に遊びに行った時に買ってもらうようなちょっと特別なものでした。その親戚のおじさんはエンジニアで、電子工作に興味のある人だったので、男の子だから好きだろ?みたいなノリでエレキットを与えられたのが最初だった気がします。

― 難しい工程もあると思いますが、最初からすぐに興味を持てましたか?

もともとものづくりが好きだったのは大きいかもしれません。これは母から聞いたので自分では覚えていないのですが、通っていた幼稚園がちょうど建て替えのタイミングで、どうせ壊すので何でもやっていいとなって、自分たちで壁に釘を打ち付けてお店屋さんごっこをしたりと、本当にやりたい放題だったそうです(笑)。また小学生のころは新興住宅地に住んでいて、建設途中の家や空き地、端材が豊富にあったので、親に買ってもらった小さな大工セットを駆使して、空き地で木を組み立てたりしていました。“作る”という風景や行為が幼少期から身近だったので、エレキットに対しても抵抗感がなかったんでしょうね。

― では、実際に作ったエレキットの中で印象に残っているものは何でしょうか?

色々あるので悩みますが…グランドミニピアノは、スイッチをつけるとオルゴールにもなるというもので、親戚のおじさんと名古屋の大須にある電気街に追加パーツを買いに行ったのでよく覚えています。そこでハンダ付けの楽しさも知りましたね。ハンダのセットを揃えると何かやりたくなって、モーターなどを自分で工夫して作ったりもしていました。また、お風呂の水がたまったら教えてくれるセンサーなど、家族の役に立つものを作るのが好きでしたね。作る工程の楽しさだけでなく、人に使ってもらって喜ばれるのが嬉しいという感覚がエレキットで培われたと思います。

― 難しい工程もあると思いますが、最初からすぐに興味を持てましたか?

もともとものづくりが好きだったのは大きいかもしれません。これは母から聞いたので自分では覚えていないのですが、通っていた幼稚園がちょうど建て替えのタイミングで、どうせ壊すので何でもやっていいとなって、自分たちで壁に釘を打ち付けてお店屋さんごっこをしたりと、本当にやりたい放題だったそうです(笑)。また小学生のころは新興住宅地に住んでいて、建設途中の家や空き地、端材が豊富にあったので、親に買ってもらった小さな大工セットを駆使して、空き地で木を組み立てたりしていました。“作る”という風景や行為が幼少期から身近だったので、エレキットに対しても抵抗感がなかったんでしょうね。

コメント

創業当時からの人気商品であるアートする工作シリーズ。マイコンで音を作り出すピアノキットはネーミングや機能をマイナーチェンジしながら現在も販売している。

― その感覚は、中村さんの現在の仕事にもつながっていますよね。

楽しいと思ってもらえるものを作りたい気持ちは昔から変わっていませんね。また、自分が子供のころにほしかったものが開発のアイデアの素にもなっています。体の動きをカメラで読み取って音に変換するKAGURAも、私自身が楽器を弾けないコンプレックスがあったので、誰でもすぐに楽しめる楽器を作りたいという思いから生まれました。

コメント

― 最近はビジュアルプログラミングアプリSpringin’など、教育アプリの開発にも力を入れてらっしゃいますね。

エレキットのような電子工作にも言えることですが、“作る=楽しい”という経験を子供のうちからしておくことが大切だと私は考えています。自分で作るのは面倒くさいし、買った方が手っ取り早いかもしれませんが、色々な材料を組み合わせて工夫することを楽しいと思うことができれば、そこから新しいものが生まれると思うんです。プログラミングにしても、“プログラミングというものは、分岐があって繰り返しがあって…”みたいに教えられると嫌になりますが、“まず似顔絵を描こう。その似顔絵動かしてみたいよね?じゃあ重力をかけて顔を落とすようにしよう。落ちて○に当たったらゴール、×に当たったらゲームオーバーに…”とやっていけば、これで分岐を学んだことになる。“楽しい”をどこまでキープできるか、それが子供の創造力を引き出す鍵だと思っています。そういった意味では、会社として“作る側”から“作る人をつくる側”のスタンスに変わってきましたね。

― ちなみに、中村さん自身は子供のころからプログラミングに触れる機会はあったのでしょうか?

ありました。本当に何気ないきっかけで、父の同僚でパソコンに詳しい人がいて、その人のパソコンでゲームをさせてもらったんです。それがすごく楽しくて、頼み込んで何とかMSXを買ってもらいました。でもゲームまでは買ってもらえなかったので、マイコンBASICマガジンを見て自分で作ったのが最初ですね。あとよく覚えているのが、中学生のころに投稿した2行くらいのプログラムがMSXマガジンに掲載されたことです。表示されてループする程度のものでしたが、ちょっとした成功体験になりましたね。

― ないなら作る、というのが自然な流れだったんですね。

そうですね。プログラミングの勉強をしろなんて誰も言いませんでしたからね(笑)。エレキットもそうですが、最初はハンダ付けなどの手段が楽しいところから入って、道具として使いこなせるようになるとまた楽しくなって、さらに何のために作るのかという目的が出てきてもっと楽しくなる。ただそうすると知識や技術が足りなくなるので、必死に勉強する。ものづくりにおけるこのプロセスの大切さは、子供のころの経験があったからこそ気付けたのだと思います。

コメント

電子くらぶのバックナンバーを手にし、当時好きだった商品や読者投稿のページの話で盛り上がる取材風景。

― 最後に、「イーケイジャパン」に今後期待することを教えてください。

最近では“作る”ということが当たり前でなくなってきているのが、すごくもったいないなと思っています。料理にしても、買うよりも作った方が楽しいし、誰かに食べてもらえたら嬉しいですよね。“もの”だけに価値を見出すのは寂しいことだと思うんです。その点エレキットは、“体験”を提供してくれます。またプラモデルのように完成したら終わりではなく、あとから改造できる余地があるのも面白い。広がりがあるからこそ新たな可能性が生まれると思うので、独自のものづくりの視点をこれからも貫いてほしいと思います。

コメント
カッコ

25周年のお祝いメッセージ

この度は25周年おめでとうございます!
私が何かを作る人になったのは、間違いなくエレキットのおかげです。今後も子供たちが夢中になれる魅力的な製品を作り続けてください。
そして多種多様な“作る人”を、エレキットの力で増やしていってほしいなと思います。

しくみデザイン 代表取締役

中村 俊介さま